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2012年5月10日 (木)

明治憲法に関する本を読み終はつた

先日投稿した、「今読んでゐる本:明治憲法の思想」を読み終はつた。

本書は明治憲法が起草されるまでの先達たちの行動、背景、憲法が施行されてからの議会の議論、明治憲法にをける天皇陛下の位置づけ、明治憲法の法の解釈をいかに適用したのか、軍部が政治に出てくるその時代背景等が総合して書かれてをり、「どんな良法でも解釈と適用の仕方により悪法になる」ことが明快に書かれてゐる。

現在、日本は政府がきちんとした対応をしないため、国民が領土に関して関心を高めてをり防衛の必要性を感じだしてゐる。こんな物騒な世の中なのに防衛費を削減するとか自国民を守らないのは何事だ、といふ考へになつてゐる。

あたくしは、明治時代の欧米の列強が台東した時代から第二次大戦までの世の中は世界全体が「自国民を自国で守らないと欧米に飲みこまれる」といふ危機感が非常に強かつたのではないかと考へる。

そのため、今以上に領土といふより国そのものを侵略される危機感があり、「防衛」の意識が非常に強くなつてゐたのではないかと考へる。

現在は他国が植民地をあからさまに拡大してゐる時代といふよりは、植民地政策をしてゐた欧米が「経済的にその国を自国の利益のために利用する」といふ流れに変化してゐるので、世界的に領土を侵略されるといふ雰囲気ではない。

しかしシナが周辺の国にやつてゐることを欧米が世界各国でやつてゐたのであらうから、それは現在よりもずつと防衛の意識が高まるであらう。

その時代背景を無視し、明治憲法そのものの法の条文を無視し、「今日の我が国の学校教育や憲法学を支配している「人民史観」なるイデオロギーそのまま」に明治憲法を否定するのは間違つてゐる。

本書は、上記のやうに考へるやうなヒントをくれた本なので是非とも一読をおすすめしたい。

本書はまた、明治憲法が諸外国の憲法学者から評価されたことも書いてあるし「よく学校で習ふやうに、明治憲法はドイツのプロシア憲法を参考にした」といふ内容とも異なることで批判を受けたことも書いてある。

「彼らは明治憲法が歴史法学の手法によって起草されたことを高く評価し、一方でやや意外なことに『ドイツ流』に徹せずイギリス流の立憲政治を採用したことについては、非難したのである」(P246) (学校教育といふのはだうしてかう、嘘ばかりなのか?)
(第六章 明治憲法は非民主的か 第四項 ドイツ流でなかった前年度予算施行権 (P236-246)

ここに登場する諸外国の学者たちは : 
イギリスの憲法学者 A.V.ダイシー 
フランス上院議長秘書官 ルボン
社会進化論者 ハーバート・スペンサー
「近代民主政治」の著者 ジェームス・ブライス
米国連邦最高最裁判官 オリヴァー・ウェンデル・ホームズ

さらに、明治憲法における天皇と政治の関係に関しても記述があり勉強になる。 (第五章 憲法と天皇 第二項 なぜ昭和天皇は政治的意思を排したのか (P172-182)
戦争を「ご聖断」で止めることをできた天皇がなぜ開戦を止めることができなかつたのか? これについて、本書は「昭和21年2月の回想、藤田尚徳『侍従長の回想』中公文庫、1987年」の一文を引用して明治憲法上に位置付けられた天皇の立憲君主としての役割を説明してゐる。

引用すると
「戦争に関して、この頃一般で申すそうだがその戦争は私が止めさせたので終つた。それが出来たくらいなら、なぜ開戦前に戦争を阻止できなかったのかという議論であるが、なるほどこの疑問には一応の筋は立っているように見える。如何にももっともと聞こえる。しかしそれはそうは出来なかった。申すまでもないが我国には厳として憲法があつて、天皇はこの憲法の条項によつて行動しなければならない。

またこの憲法によって、国務上ちゃんと権限を委ねられ、責任をおわされた国務大臣がある。この憲法上明記してある各国務大臣の責任の範囲内には、天皇はその意思によって勝手に容喙し干渉し、これを制肘することは許されない。(中略)

もしそうせずに私がその時の心持次第で、ある時は裁可しある時は却下したとすれば、その後責任者はいかにベストを尽くしても、天皇の心持によって何となるか分からないことになり、責任者として国政に責任を取ることが出来なくなる。これは明白に天皇が、憲法を破壊するものである。専制政治国ならばいざ知らず、立憲国の君主として私にはそんなことは出来ない」 

では終戦の際の「ご聖断」は?
「だが、戦争を止めた時のことは開戦の時と事情が異なっている。あの時には終戦か、戦争継続か、両論に分かれて対立し議論が果てしもないので鈴木(貫太郎首相)が最高戦争会議でどちらに決すべきかと私に聞いた。ここに私は、誰の責任にも触れず、権限を侵さないで、自由に私の意見を述べる機会を初めて与えられたのだ。だから、私は予て考えていた所信を述べて、戦争を止めさせたのである。(中略)このことは私と肝胆相照らした鈴木であったからこそ、このことが出来たのだと思っている」

この昭和天皇のご説明だけで、明治憲法に関する現在の説明が大嘘だとわかりますね。 なぜ左翼はすぐにバレる嘘を吐くのでせう?

八木氏が最後に書いてゐるやうに「明治憲法は負わなくてよい”罪”を負っている。その汚名はすすがれなくてはならない」(P286)

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